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ミョウバンはウニの味を悪くする?

お寿司屋さんで締めには必ずウニを食べるというウニLOVERが多いなか、ウニが苦手で食べられないという人もいます。ウニがダメな人にその理由を聞くと、たいてい、苦味や薬っぽい匂い、生臭さがダメという答えが返ってきます。その原因の1つに、どうやら「ミョウバン」が関係しているようです。その真相を確かめるべく、老舗・仲卸「大芳」のウニを担当する宇田川さんにお話を聞いてきました。

 

前回の記事はこちら

ミョウバンはウニの味を悪くする?

 

そもそもミョウバンは何のために使うの?

シノブ
早速ですが、宇田川さん、ミョウバンってなんですか?

 

宇田川さん
ミョウバンとは硫酸アルミニウムカリウムのことで、サツマイモや栗のアク抜きや、ナスの漬物の色を鮮やかにするために鉄と一緒に使ったりするものです。

 

▲これがミョウバン

 

 

シノブ
どうしてウニにミョウバンを使うのでしょうか?

 

宇田川さん
ミョウバンの入った水で洗うと、ウニが溶けにくくなります。そのため産地以外に出回っているウニの多くはこのミョウバンが使われています。

 

シノブ
ウニはカタチが崩れやすいということですか?

 

宇田川さん
そうなんです。ウニは空気を吸う力が強く、酸化すると臭みが出やすい。水揚げしたあと、なにも手を施さずにおくと溶けてしまうんです。そのためミョウバンを混ぜた海水に漬け身崩れするのを防ぎます。

 

▲繊細なウニさん

 

 

シノブ
ミョウバンってどうしても良いイメージがなくてミョウバン臭いというか、あの苦味がダメでウニが食べられなくなったという話をよく聞きます。

 

宇田川さん
ミョウバンを使うとまずくなると言われていますが、それはまちがいだと私は思います。ミョウバンの海水につけることで、ウニが余分な水を吐き出すので、ウニ本来の旨味が際立つのではないでしょうか。ウニそのものに苦味がある場合もあるんですよ。

 

 

私たちが「ウニ」として食べているのはウニの生殖巣です。この生殖巣は、卵や精子をつくらない時期は栄養細胞が栄養を貯蔵し徐々に大きくなります。そして産卵期に向けて生殖巣内で生殖細胞の割合が増え、栄養細胞の割合は減少します。このとき、栄養細胞の割合が高い時期がいわゆるウニの「旬」です。「旬」が過ぎると、生殖細胞が増えていき、生殖巣から卵や精子が流出する「身溶け」や味の悪化が起きます。これが「苦味」となるのだそうです。

 

 

宇田川さん
それとウニは産地と生産者がとても重要です。

 

シノブ
産地というのは、海水の温度やウニのエサとなる昆布が良質だということがわかるのですが、生産者が関係してくるのはどうしてでしょうか?

 

宇田川さん
優れた生産者は、ミョウバンの濃度を巧みに調整して上質なウニに仕立てます。ミョウバンの過度の使用は、ウニにミョウバン特有の渋みをつけてしまいますから。

 

▲宇田川さんの口から知られざる真実が次々と明らかに

 

 

シノブ
ミョウバンを必要以上に使うのはどうしてですか?

 

宇田川さん
質のよくないウニほど身崩れしやすいので多量のミョウバンを使うのでしょうね。あまり品質のよくないウニであればあるほど、形を長くもたせるためにミョウバンがかなり多めに使われている。ただでさえ味の劣るウニに、大量のミョウバンを使っているため、その匂いと苦味がして、ますます味を悪くしてしまっている。

 

シノブ
なるほど…もともと美味しくないものが、さらに美味しくなくなってしまうのですね。

 

宇田川さん
ウニは下処理も大変なんです。殻を二つに割って、黄色い卵巣、もしくは精巣を取り出します。そしてゴミや他の臓器を丁寧に取ります。少しでも残ってしまうとジャリジャリとして、磯臭くなります。筋もきれいに取り除かないとそれが苦味として残ってしまうんです。

 

シノブ
そのような細かい作業があるんですね。

 

宇田川さん
先ほど私が「生産者」と申し上げたのが、こういった加工をする方たちのことなんです。

 

シノブ
繊細なウニにそれだけの細かな作業をするのだから、丁寧な仕事を求められるわけですね。

 

宇田川さん
そうなんです。だから私たちは競りでも、生産者がどこかというのは必ずチェックしていますよ。

 

▲美味しいウニはたくさんの苦労の上に成り立っていた

 

 

ミョウバンがまずさの元凶のように言われていますが、宇田川さんにお話を聞き、それは間違いであることを知りました。ミョウバンがウニをまずくしているといった情報に左右されず、自分の舌で美味しいウニを見極めていきたいと思います。

by
編集者/ライター。東京・下町生まれ。旅と町歩きとカメラが趣味。人生最後の晩餐はお寿司と決めている魚好き。